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福島原発事故によるいわゆる自主避難者への住宅無償提供の継続を


2017年4月10日 第193国会 決算行政監視委員会第一分科会

○池内分科員 日本共産党の池内さおりといいます。3月17日に前橋地裁が、原発事故の賠償を求めた集団訴訟の判決の中で、東電とともに国の加害責任を認めました。避難区域の内外を問わず、避難をし、避難継続を続けることの合理性を認めています。そして、区域外避難者についても、避難生活によって人格権、憲法13条、これに基づく平穏生活権が侵害されているということを被害として認め、国にも賠償を命じた。

まず、大臣にお伺いいたしますけれども、福島の原発事故の被害によって福島県民に背負わされた苦しみ、どのように認識していますか。

○今村国務大臣 原発事故によって福島県民の方々を中心に本当に大変な被害を生じたことはよく承知しております。そして、今なお、避難生活の長期化に伴うストレス、あるいは住宅、生活の再建に不安を抱えておられる方など、たくさんの方が厳しい状況に置かれているということは肝に銘じなければいけないというふうに認識をしております。

引き続き、こうした状況をしっかり受けとめながら、被災者に寄り添い、支援の充実や住まいの再建など復興の加速化に取り組んでまいりたいと思っております。

○池内分科員  私は、この判決が述べた国の責任というのを本当に今受けとめるということが求められているというふうに思います。

私自身も、自主避難を選択された被災者、そして福島にとどまるということを選択された被災者に、それぞれ直接お話を聞いてきました。感じたことは、地域社会が引き裂かれるという、これは本当に痛烈な痛みだったと思います。6年の月日があの東日本大震災と原発事故以降にひとしく全ての人に、この人々のもとに過ぎ去ったわけですけれども、私は、原発事故による放射性物質の危険に直面せざるを得ない福島の皆さんの6年というのは、やはり異質の、決してほかでは強いられることがなかった、まさに究極の選択を迫られ続けた日々だったというふうに思うんです。

放射能汚染のない環境で、そして、ある程度の収入があり、生活物資や医療、福祉、教育など、こうした問題が地域に根差しているコミュニティーで初めて人々は暮らしていけます。しかし、この原発事故によって、こうしたコミュニティーの要素がばらばらに切断をされている。地域社会の単位で見れば、個々の家族や住民の間で選択は異なる。そうすれば住民の離散をもたらすし、一つの家族という単位で見ても、複数の構成員で選択に食い違いが起こることは当然だと思います。母子避難を余儀なくされている皆さんもいる、家族離散ですよね。福島の皆さんは、このばらばらになってしまった要素の一体どれを重視して居所を決めるのか、この選択を今も迫られているという自覚が私は必要だというふうに思うんです、行政の側に。

繰り返しますけれども、原発事故と放射能汚染が住民に選択を迫り続けているこの現状のもとで、政府は、私から見ると、あなた方が、加害者が決めた線引きというのに一体どんな意味があるのかと言いたいわけですよ。その線の前で放射能がとまってくれるとでも言うのか。

これは大臣に重ねてお伺いいたしますけれども、避難区域外の避難者、いわゆる自主避難者と呼ばれる方々に対して、大臣、どのような認識をお持ちですか。

○今村国務大臣 これは、避難指示区域の方はもとよりでありますが、それ以外の方についても、大変な、やはり厳しい期間を過ごされたというふうに思っております。

その上で、今までいろいろな、除染をやってきたり、またはいろいろなインフラの整備等々を、早急に生活環境の整備等もやってきて、こういった一日も早く福島に戻って生活ができる仕組みを一生懸命やってきたわけであります。

その結果として、先般、そういったまた新たな地域を避難解除ということで決めて実行したところでございますが、それぞれの生活というものはやはりあるわけでありまして、これを一律にこうしなさいと言うことはできないということはよく承知しておりますから、できるだけそれぞれの皆さん方に寄り添って丁寧な対応をしていきたいというふうに思っております。

○池内分科員 どのような苦しみがあったかという問いにも、そして自主避難者と言われる方々をどう認識されていますかという私の質問にも、私は、正直言って、明確な答弁といいますか、大臣自身、やはり現場のことを御理解ないんじゃないかというふうに思う答弁でした。わかっていれば、住宅の無償提供を打ち切れるわけがないんですよ。

政府が決めた避難指示区域外の区域から放射能の影響を避けるために避難をした、こうした方々への住宅の提供が3月31日で打ち切られていて、大臣は、4日の記者会見で、住宅の無償提供を打ち切った後に、福島県に残るも残らないも避難者の自己責任だと言い放ったと。7日の記者会見では、発言を撤回するという一方で、いろいろな状況を勘案しながら、みずからの判断で帰還していただくとも述べていらっしゃいますね。

帰還、移住、避難生活の継続、生活再建に向けて、被災者の皆さん自身がどんな選択をするか。それは、多様な選択肢の中から自分の判断で決めていく。これは当たり前のことでありまして、加害者である国、また東電にわざわざ言われずとも、被災者自身が決めるなんということは、日本国憲法がその権利を保障しています。

災害時においても、個人としてその尊厳が保障され、国民の一人として市民的諸権利というのが他の国民と同等に保障される、これはなくてはならない前提だと思う。

しかし、とりわけこの原子力災害による被災者というのは、他の自然災害とは異質の困難がつきまとっている。そうした困難に直面している皆さんに政府がやったこと、これは文字どおり、みずからの判断で避難生活の継続を選択しようとした人たちから、一方的にその選択肢を奪うことじゃなかったのか。まさにそうだと。自主避難者に対するほぼ唯一の公的支援であったこの住宅の無償提供というのを政府は打ち切ったわけです。

大臣にお伺いしますけれども、要するに、自主避難者は4月1日をもって支援する対象ではない、被災者ではないという認識ですか。

○今村国務大臣 この間の経緯についてはよく御存じかと思います。 災害救助法を適用しながら、いろいろな形で自主避難者の方々にも、住宅の提供等々、無償に近い形でやってきたこともあります。その他いろいろな対応もしてまいったところでありまして、これについて、もう約2年ぐらい前から、そういったことについてどういう対応をするかという方針を、福島県を中心に、そして内閣府とも協議をしながら決めてきて、そしていよいよこの3月末あるいは4月初めに、こういうことで無償供与をやめるということにした、この経緯であります。

そういう中で、今言われましたように、確かに個々のいろいろな方がいらっしゃいます。中には、もう途中で戻られた方もいるし、いや、まだ私は戻れないという方もいる。そういった方について、今までのいろいろな経緯を踏まえながら、そして、その中で示されている幾つかのいろいろな選択肢、そういったものを、まさにこれは個々の、それぞれの方の家庭の事情、考え方があるわけですから、そういったものに応じた丁寧な対応をやっていくということでありまして、これからも、そういったことについては、福島県を、被災者に一番近いところにあるわけですから、しっかりやってもらって、そしてまた、それを私たち国もしっかりと支援、サポートをするということで、丁寧にやっていきたいと思います。

○池内分科員 つまり、支援が必要な被災者なんですか、自主避難の皆さんは、4月1日以降も。

○今村国務大臣 ですから、先ほど言いましたように、災害救助法が……(池内分科員「一言でいい。被災者だと認識しているのかと聞いているんです」と呼ぶ)

いや、もちろん認識していますよ。

(池内分科員「では、そう言ってください」と呼ぶ)

被災者と認識しています。ですから、それぞれの方に応じた、事情に応じた丁寧な対応をやっていくということです。

○池内分科員 つまり、公的支援が必要だという認識なわけですよね。

だったら、どうして無償の住宅提供を打ち切るのか。これが問題なんです。

福島特措法も、子ども・被災者支援法にも、原子力を推進してきたことに伴う国の社会的責任というのを明記していて、そもそも原発事故に対する責任を負う側、皆さん加害者ですよ、その側が支援の内容を決めたり支援の打ち切りをしたりすること自体が間違っていて、まさに、みずからを甘やかしながら、被災者の声も誠実に聞かずに、勝手に線を引いたかと思えば、今度は都合よくその線引きさえも消し去ろうという、賠償を打ち切ろうというんですから、私は、この国の政府も東電も、まことに責任のとり方を知らないと言わないといけないと思います。

国が決めた枠組みから漏れた被災者は自己責任でやれと、国みずからの責任を被災者になすりつけるなんて言語道断だと言わないといけない。原発事故を終わりにする、被災者を切り捨てる、これがあなた方政府の本音ではないのか。

これまで無償提供を受けてきた皆さんが、4月になったからといって住まいが突然確保できたなんて到底思えません。県外避難者の最も多い東京都、なおさらです。

大臣にまたお伺いしますけれども、全国に自主避難されている皆さん全員に住まいが確保されたんでしょうか。住まいが確保できていないとしたら、どうするんですか。

○今村国務大臣 自己責任という言葉がちょっと……(池内分科員「聞いていないです」と呼ぶ)いや、ちょっと言わせてください。

さっきも言いましたように、これは、それぞれの個々の皆さん方の事情に応じて、みずからの主体的な判断で対応される。その参考になるのに、今までもやってきたし、そして今回も、そういったまた経過的措置等もとるようにしているわけです。そしてまた、あわせて、いろいろな生活相談等々、そういったものも、先ほど言われた法律の趣旨にのっとって、いわゆる子ども支援法、そういったことで丁寧にやっていくということであります。

○池内分科員 勝手に発言されて、私の質問に答えていないので、もう一回お願いします。

住まいを確保されたのかと、全ての人が。

○今村国務大臣 これはもう約97、8%の方が住まいを確定されている、調査によると、しています。

○池内分科員 帰れない人はどうしたのかと言われて記者会見の場で激高されたので繰り返さないですけれども、確保されていない方がいらっしゃるわけですよ。それが問題なんですよ。

先ほど97%云々とおっしゃったけれども、数字に上がってこない潜在的な個々人の困難に寄り添う姿勢こそ大事だと私は言いたい。既に帰ったという人についても、丁寧な聞き取りをやっていただきたいんですよ。

そのときは帰るという選択をしたとしても、実際に帰ってみたら、さまざまな困難に直面しているということは容易に想像できます。

国も東電も、そうした全ての被災者、皆さんの声を聞き続けるという努力をしていただきたい。こうして初めて、まさに、長期にわたるみずからの責任を、加害者としての自覚を持つことができるということを私は指摘しておきたいと思います。

国は、いつも、何だかもう一つ覚えのように、福島に寄り添ってとか丁寧に相談に乗ると、大臣もこの間、私の質問の中でも、もう数え切れぬばかりの丁寧という言葉を使われていらっしゃいますけれども、丁寧に乗るといいながら、現場でどういうことがやられてきたか。

福島県が、応急仮設住宅の打ち切りの後の住宅が決まっていない世帯に対して、戸別訪問をやっていますよね。意向等についてきめ細かくというふうに言っているわけですけれども、実際に行われてきたのは退去の説得にほかならない。

この間、東京都にお住まいの自主避難の方々から、私もお話を聞きました。訪ねてくるなり、来年3月で出ていってもらいますと突然言われた。ここが3月末までなのはわかっていますよねと、玄関の扉に足を挟んで閉められないようにして、残っているのはあんただけだと御近所にも聞こえるような大きな声を出されているんですね。住宅返還届を無理やりにでも書かせるために、まさにこれは、脅迫まがいの追い出しをやってきたというのが実態じゃないのか。

やむなく自主避難というのを選択された方、私、お話を聞きました。

福島の、ふるさとの住民票を手にして、放したくないと話してくれました。私、この言葉を忘れられません。皆さん、捨てたいふるさとなんて一つもないわけですよ。できることなら、原発事故の前の暮らしに戻りたい。しかし、それは現状、実現しない。福島県の住民票を大切に持ちながら、しかし、戸別訪問の現場で、先の見通しがないと幾ら説明しても全く聞き入れてもらえていない。こうした戸別訪問の現場で、福島から切り離されるような痛みを皆さん感じていらっしゃる。こうしたやり方は、私、おどし以外の何物でもないというふうに思います。

政府が、行政の側が、ふるさとを捨てさせようとしているのではないのか。政府が言うような、これが丁寧なやり方と言えるのか。

大臣にお尋ねします。大臣、言いますよね、丁寧、丁寧と。であるなら、今後、被災者に恐怖心や不安を感じさせるような戸別訪問のあり方、これは絶対に行わないと約束してください。

○今村国務大臣 先ほども言いましたように、いろいろなことで線量も低下した、そしてまた、いろいろ……(池内分科員「約束」と呼ぶ)

ちょっと待ってください。生活環境の整備もできてきた、そういったことを、よく事情を説明しながら、丁寧に説明をしているんです。だから、これからもそういうことはやっていきます。現に、だから、そういうことを踏まえて、98%近い方が住居をもうそういうことで決めてこられたじゃないですか。そういったことはしっかり評価していただいて、なおかつ、足らざる分はこれからもしっかりやっていきます。福島県も一生懸命なんです。それはわかってほしいと思います。

○池内分科員 九十何%帰った帰ったと言うけれども、こういうやり方の中で帰らされた人もいるという自覚を持つべきですよ。丁寧にやっていただきたい。重ねて、要は、恐怖心を主体の側に与えないでいただきたい、そのことを言っています。

内閣府に聞きますけれども、3月31日よりも前に避難指示が解除された市町村、帰還した方々の数値を教えてください。

○星野政府参考人 お答え申し上げます。 避難指示解除後の住民の方々の最新の帰還率でございますけれども、各市町村の調査によりますと、田村市の旧避難指示区域では73%、川内村全域では七70%、楢葉町では21%、葛尾村では9%、そして南相馬市の旧避難指示区域では16%と伺ってございます。

○池内分科員 これはつまり、楢葉町とか葛尾村というのは、一年がたち、二年がたっても、10%にも満たない、二割にとどまっているような地域もあると。ここに示されているのは、幾ら皆さんが線引きを変えても、帰りたくても帰れないという現実があるということです。

私は、3月31日に避難指示が解除された浪江から東京に避難されている方にお手紙をいただきました。読みます。

私の家は避難指示解除準備区域で、昨年11月に除染が済んだというので行ってみましたが、除染というのは庭などの外回りだけで家の中はしてもらえません。庭は〇・八から〇・四マイクロシーベルトまで下がりましたが、除染してもらえなかった側溝は二・七五マイクロシーベルトあって、線量計がビーっと不気味な音を立てました。家の中は〇・五八マイクロシーベルトで年間三ミリシーベルトですから住めません。  庭の土は十センチ剥いで除染したのだと思っていたら、剥いだのはわずか5センチで、後からかぶせた土の下、もともとの土の部分は八千四百ベクレルあったのです。指定廃棄物は八千ベクレルですから本当に怖い。

亡くなった主人はよく言っていました。ただで貸してやるから、東電の社長が子供や孫を連れてきて我が家に住み、浪江の水道水を飲み、浪江の田んぼや畑でとれた米や野菜を食べ、町の公園で孫を遊ばせて5年たっても何でもなかったら、俺は戻ってやる。

これが、3月31日にあなた方政府が線引きを消し去った地域の今のありさまですよ。これでどうやって帰れというんですか。大臣、これは帰れるんでしょうか。区域編成ばかりに熱心になって避難者を消し去るのではなくて、避難生活をこそ継続する、この必要があると私は思う。

国は、さっきから福島県、福島県と言って、福島県の後ろにいつもいつも隠れていないで、前に出てきて、住宅の無償提供の継続をすべきです、継続。

○今村国務大臣 今具体的な例を示されたわけでありますが、そういったことも含めて、もし足りなかったら、ちゃんと除染を、もう一回そこをやるとか、そういった丁寧な対応をやっていくということもこれから必要だというふうに思います。

そして、無償の継続については、これについては、先ほど言ったような経緯を経て、これで決めてきたわけであります。それでやる。そして、それではまだ足らざる部分、どうしてもという方については、先ほど来言っていますように、個々の皆さん方のお話もよく聞きながら進めてまいりたいというふうに思っております。

○加藤政府参考人 お答えいたします。 東日本大震災における応急仮設住宅の提供については、発災当初から災害救助法に基づく応急救助として実施することとしたものでございまして、地震、津波、原子力災害の別なく、一律に取り扱ってきたところでございます。

今般、7年目、平成29年4月以降の延長決定に際しては、災害公営住宅の整備等がおおむね完了し、各市町村の復旧復興状況に応じたきめ細かな対応が可能であると福島県において判断されたところでございまして、そのため、福島県において、個々の市町村の状況を確認し、延長の方針を検討、判断され、国の同意を得た上で決定されたものでございます。

具体的には、平成29年4月以降については、避難指示区域以外の市町村は、公営住宅が十分に整備等されていない市町村を除き、災害救助法に基づく応急仮設住宅の供与から、福島県により策定された帰還・生活再建に向けた総合的な支援策に移行することとなりました。

したがいまして、内閣府で所管する災害救助法に基づく、いわゆる自主避難者の方々に対する応急仮設住宅の供与は延長されなかったものでございます。

○池内分科員 今、大臣は、足らざるところあればやっていくと言ったわけですけれども、大臣の認識も、今の内閣府の答弁も、足らざるところばかりだということを私は言いたいと思います。

この無償提供の打ち切りに同意を国はしたとおっしゃったけれども、私は、その時期にこだわります。国は2015年の6月に同意をしています。

なぜ、2年も前に、2017年3月末、今現在のことがわかったのか。自主避難している被災者が住居の無償提供なしで暮らしていけると、なぜ判断できたんでしょうか、2年も前に。一体、何を根拠に国はこの打ち切りに同意したんでしょうか。

○加藤政府参考人 お答えいたします。  災害救助法による救助は都道府県知事が実施するものでございまして、応急仮設住宅に係るその供与期間につきましては原則2年以内とされておりますけれども、都道府県知事がその必要性を判断した上で、総理大臣に協議をいたしまして、その同意を得て延長することができるというふうにされてございます。

平成29年4月以降の福島県内の応急仮設住宅の延長の可否につきましては、災害公営住宅の整備状況など、各市町村の復興復旧状況等を勘案して、福島県において検討されたものであるというふうに理解をしてございます。

これを受けて、福島県と内閣府において協議を重ねた結果、内閣府としては、応急的な救助としての性格を踏まえると、災害公営住宅の整備状況などを勘案した福島県の考え方は合理性があると考えるに至って、同意をしたものでございます。

○池内分科員 今の同じ質問を大臣にもお答えいただきたいんですけれども、何を根拠に同意したのか。

○今村国務大臣 今、お答えになったとおりであります。

○池内分科員 つまり、福島県がそうだ、こうしたいと言って、国がそうしましょうと言ったという流れですか。

○今村国務大臣 それは、先ほどの答弁にもありましたように、いろいろな受け入れのための、戻っていただくための環境整備等々も進んできた、そういった諸般の状況を、福島県と国が一緒になっていろいろ状況をよく見ながら、これでいけるという判断をしたということであります。

○池内分科員 私は、その点で、きょう持ってきたんですけれども、2012年の8月23日付の福島県が作成した文書がここにありまして、厚生労働省との協議結果という文書なんですよね。災害救助法の借り上げ住宅の県外避難者に対する新規の受け付けというのを終了する、これについて、当時災害救助法を所管していた厚生労働省、そして福島県が協議したときのやりとりなんです。

この中で、厚生労働省の災害救助・救護対策室長が福島県に対してこう言っています。「復興庁サイドから「福島県民の福島県への帰還を促進しなければならないのに、厚生労働省は何をやっているのだ。福島県に任せるのでなく、厚生労働省が泥をかぶってやれ。」と言われている。」というふうにこのやりとりの中で発言しているんですね。

要するに、これは、復興庁自身が災害救助法に基づく支援を早く打ち切れと当時の厚労省に圧力をかけていた、その事実を示していると思います。

大臣、お伺いしますけれども、これは結局、復興庁が住宅の無償提供を打ち切らせたんじゃないですか。

○今村国務大臣 今の御指摘の点、私ども存じておりません。もう少しその文書を確認して、どういう意図でやったのか、調査をしたいと思います。

○池内分科員 これはすごく重要だと思うんですよ。国は何かにつけて福島県の意向を尊重と言うけれども、物すごいチームワークで、賠償の打ち切りのときだけは省庁横断的に、復興庁が出しゃばってきているということです。何で賠償打ち切りのときだけ、あなた方はしゃしゃり出てくるのか。私は、そのチームワークを賠償の継続のときにこそ発揮していただきたいと思うんですよ。

大臣、今資料がわからないとおっしゃったから、これは確実にちょっと調査してください。大臣、確実に、これは。

○今村国務大臣 点検してみます。

○池内分科員 ぜひともよろしくお願いいたしたいと思います。これは、ジャーナリストが情報公開請求で出している資料で、もうネット上に出ていますから、ぜひお願いしたい。対応した職員の名前も書いてありますので。ぜひとも重ねてお願いしたいと思います。

まさにこの流れを見ると、一体何のための復興庁かということを言わないといけないと思うんですね。子ども・被災者支援法第二条二項、ここには、被災者の方々一人一人がそれぞれの意思で、ほかの地域に行く場合、また地域にとどまる場合でも、みずからの意思によって行うことができるというふうに書いてあるわけで、私はこの法の原点に立ち返るべきときだと思う。

大臣に重ねてお伺いいたしますけれども、この第二条にきちんと立ち返り、避難生活継続の唯一の支援である住宅無償提供、これを打ち切るということを、今からでも遅くない、やめるべきじゃないですか。

○今村国務大臣 この法律の趣旨にのっとって、先ほども言っていますように、例えば、国土交通省と連携して公営住宅への入居円滑化の支援をしたり、それからまた地元のインフラの復旧復興、医療、教育、産業、なりわいの再生等、福島県の生活環境整備に全力で取り組んできたわけであります。そしてまたさらに、全国の生活再建支援拠点への支援や帰還に向けた生活環境等々、そういったものを福島県と連携して、しっかりとこの趣旨にのっとった支援を行ってきたのでありますし、またこれからもやってまいります。

こういった取り組みは、この法律の趣旨に沿った取り組みというふうに考えておりますので、引き続き対応していきたいというふうに思います。

○池内分科員 この法律、子ども・被災者支援法第十四条には、施策の具体的な内容に被災者の意見を反映せよと書いてあります。法に基づいて、今まさに、自主避難と言われる方々、まだまだ次の場所が決まっていない方々、こうした方々の意見を踏まえて、避難生活の継続を保障する仕組みをつくるべきじゃないですか、大臣。

○今村国務大臣 この間は、先ほど言ったような形でいろいろ御相談に応じ、あるいはそういった丁寧な取り組みをやってきたわけであります。いわゆる説明会とか交流会等にも、復興庁の職員も何回となく参加しております。そして、意見、御要望を伺ってまいりました。

これからは、やはりなぜこういった方が地元に戻れないかというようなことを、それぞれ個々の事情があるわけですから、そういったことも踏まえて、それに応じた的確な個別の対応ということになってくるかと思いますが、寄り添いながら対応していきたいというふうに思います。

○後藤田主査 申し合わせの時間が経過しております。御協力をお願いします。

○池内分科員 はい。もう時間ですので終わりますけれども、大臣は復興をマラソンに例えて30キロ地点まで来ているとおっしゃったけれども、しかし、きょう私が明らかにしたように、復興庁が復興庁としての責任を果たしているかといえば、そんなのはまだスタートラインにさえ立っていない。事実、被災者は失望しています。 復興庁がふさわしくその責任を果たすために、私は、大臣はまずみずからの責任をとって、辞任こそふさわしいということを指摘して、質問を終わります。